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「ジーン・ワルツ」 [cinema]


ジーン・ワルツ [DVD]

ジーン・ワルツ [DVD]

  • 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
  • メディア: DVD


2/5(土)、待ち遠しかった公開初日、早速観てきました(でも記事の更新が遅れてこの有様)。
海堂尊さんの小説の映画化はこれで3本目、これまでの2作はどちらも田口・白鳥シリーズだったんですが、今回の内容は違います。そのせいなのか、監督も製作スタッフも今回は別物になっていました。実は、自分はこの桜宮サーガには映画から入ったクチなので、中村義洋監督の描く「バチスタ」も「ジェネラル」も嫌いではない世界観です。小説をあとから読むと、どう脚色化したかもよく分かったし、かなり大胆な変更も自分にはそれほど大きな違和感のないものとして、訴えたいものが伝わるものでした。でも、今回は映画→小説の順序ではなく、逆の小説→映画です。そのパターンは自分にはどちらかというと少ないんですが、どうしても好きな原作小説ほど、その順序の鑑賞は厳しい評価になってしまうのも重々承知です。今回は、いや今回も、やはりほぼその予想通りの感想を持つことになりました。

冒頭、舞台は三枝久広医師の逮捕劇から始まるという衝撃的でちょっと変化球の幕開け。
この描写で、後半つながりが見えてくるエピソードとして、原作を知っている立場としてはちょっとにんまりしましたが、・・・実は後から腑に落ちない描き方だと感じてしまう個所が。
この久広氏のエピソードが語られるのに、理恵の元夫のことが設定上触れられないのは、ないことになってるのか、色々考えてしまいました。素直にこの脚本で観ていくと、曽根崎理恵医師は未婚で、清川先生と結ばれた結果がああいう形で、とか、ちゃんと完結しているんですが、原作では他の小説でも描かれる細かいリンクが幾つもあるし、省略しているんだと気づくと観ていて勝手に原作との整合性がどうなってるだろうとか、物語の展開から離れた部分での違和感がどうしても出てしまいます。映画の場面を素直に味わうには、この状態での鑑賞はつい邪魔になってしまいました。もしこれが映画を観るのが先で原作が後だったら、小説にある世界観をもっとすんなり楽しめたのに。この脚本では、少なくとも先に映画化された2作との関連があるとはまず考えられない世界観で成り立っているし、ここから派生してくる物語(すでに小説としては複数存在しています)はもう描くのが難しいんじゃないかと、余計な心配をしてしまったり。
でも、この物語の持つドラマ性はキャラクターの多少の変更では揺るがない普遍性と強烈な問題提起がありました。
不妊治療という、他者には容易に想像も出来ない切ない現実を置き去りにする医療制度がこのままでいい訳はなく、倫理的な限界を超える曽根崎医師が踏み込んだ行動に出た結果もスキャンダラスに問題視するような描き方ではなかったと思えました。そのこと自体は誤解も生じるかもしれないので実は微妙なのかもしれませんが、様々な立場の人たちが出産という場面に立ち会うとき、思わず同じように襟を正したくなるような神聖さを感じるんだなと、自然に思えました。
この映画を観るのと前後して、これまで読んできた海藤尊文庫化作品を順をたどって読み直しているんですが、この作品も改めて読み直してみる予定です。

ジーン・ワルツ (新潮文庫)

ジーン・ワルツ (新潮文庫)

  • 作者: 海堂 尊
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/06/29
  • メディア: 文庫



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コメント 4

non_0101

こんばんは。
海堂作品は原作と映像とかなり変化している作品が多いですよね。
田口&白鳥シリーズは、それもまた新しいミステリーで面白いと思いながら観ているのですけど、
今作はその変化がちょっと面白くなく感じてしまいました^_^;
でも、やっぱり新しい命が作り出す希望の大きさに胸を打たれるような物語になっていて良かったです☆
by non_0101 (2011-02-27 20:48) 

cs

nonさん、niceとコメントどうもありがとうございます。
原作がある映画化作品って、やっぱり難しいですよね。
どうしても小説の世界で勝手にイメージしているものとの比較になっちゃうんで、つい残念に感じしてしまうことも。
でも、映画が入口になって作品を知っていく場合は、より分かりやすい描き方になっていた方がいいのかもと、悩ましいところです。
そんなことで、もう映画化が決まっている「神様のカルテ」の原作、気になるけど読むのをまだ我慢しています。
でも、こういう作品はやっぱりなるべく、広く知っておいてほしい内容であるのは変わりないですね。
by cs (2011-02-28 00:04) 

みっちゃん

csさん、こんばんは。

 「ジーン・ワルツ」私はびっくりヒットでした!
ドラマと映画しか知りませんが「田口&白鳥」コンビ作品と似ているのか
?と思って見てたら全然違うものでしたが、先入観なく見れたので良かったです。すごく女性に見てほしい作品だと思いました。
 「犬とあなたの物語 いぬのえいが」は見損なっちゃったので、csさんのブログ見て犬好きだし、見ておけば良かったと・・・。
 日本アカデミー賞も決まりましたね。結果をどうとらえますか?
是非感想をお聞きしたいです。
by みっちゃん (2011-03-03 22:28) 

cs

みっちゃんさん、niceとコメントどうもありがとうございます。
この作品、ご覧になったんですね。
いや、誠実に映画化されてて、しっかり原作のメッセージも残ってるし、すごくいいお話だと思います。
先に原作を読まなければもっと素直にこのドラマに浸れたのにと思ったりしています。
これ、男性も女性も、ある程度の年齢になって考えておいて損はないテーマですよね。
「いぬのえいが」は、どうしてもスクリーンで観なければっていう作品ではないんで、もしレンタルが始まったら軽い気持ちでどうぞ。

日本アカデミー賞は、いつも思うんですが、確かに順当な結果だと思うんですが、もっと評価されていてもいい作品、たくさんあるんじゃないかと思うノミネート作品の少なさで、ちょっとなぁ・・とは思っています。
by cs (2011-03-03 23:17) 

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