So-net無料ブログ作成

寡黙なる巨人 / 多田富雄 [本のこと。]


寡黙なる巨人 (集英社文庫)

寡黙なる巨人 (集英社文庫)

  • 作者: 多田 富雄
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2010/07/16
  • メディア: 文庫


自分が免疫学者、多田富雄先生のことを知ったのは、養老孟司先生とイラストレーター南伸坊さんの共著「解剖学個人授業」という本に出会ったことがきっかけで、それはそのまま、養老先生から次に続く対談相手として多田先生を紹介された南伸坊さん自身のきっかけと一致するものでもありました。

解剖学個人授業

解剖学個人授業

  • 作者: 養老 孟司
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1998/04
  • メディア: 単行本


そしてこの本は、雑誌連載のまとめられたものとして、シリーズの第2弾のもの。
最初は、「生物学個人授業」です。

生物学個人授業

生物学個人授業

  • 作者: 岡田 節人
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1996/10
  • メディア: 単行本


南伸坊さんは現在はともかく、一時期はTV出演(そういえばCM出演とかもありました)も結構ありましたので顔を知っている人も多いんじゃないかと思います。
で、このシリーズ。
南さんの独特のイラストと解説で、面白く分かりやすい科学解説になってて、こういう軽めの本が自分は一時期好きで、読んでおりました。
で、そのシリーズを引き継いだのが、多田富雄先生の「免疫学個人授業」という連載をまとめた本でした。

免疫学個人授業

免疫学個人授業

  • 作者: 多田 富雄
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1997/11
  • メディア: 単行本


大学時代、生物学を一応専門として学んでいたはずなんですが、決して真面目で優秀ではなかったので、知識があちこち欠けてます。それをなんとか、働き始めてからちょっとずつ、ちょっとずつ隙間だらけの知識を補っておりました。
免疫について考えることは、実は自己とは何かについて考えることと同義になる、という多田先生の発想(というか、それにプラス、南伸坊さんの解釈)は自分には新鮮で、刺激を受けました。
多田先生は、その後も多くの著作を発表していたんですが、きちんとそれを追いかけていることがなく、今年になって、訃報を書店の追悼フェアで初めて知りました。
それが2010年、この年の4月のことだったと。

この本は、多田先生が2001年5月2日に旅先の金沢で倒れ、脳梗塞から球麻痺によりほぼ全身の動きを奪われ、発語にも障害をもつという重篤な状態になった後にリハビリしながら書き残した記録でした。
脳梗塞発症、死線を彷徨いながらの生還、そして重度の障害からの壮絶な復活を、“新しい人の目覚め”と表現して描く彼の生きた証そのものです。
無知ゆえによく知りもしなかった今年の訃報、過酷な重度の障害の事実は、それでもショックで、この本に記された言葉は真剣に受け止めようと、ゆっくり読み進めました。
免疫の専門家である以外に能楽の脚本を執筆されていたり鼓を嗜んだり、初めて知ることが出来た様々な素顔がこのエッセイの中で登場して、一層追悼の念が強くなりました。

巻末収録の解説は養老孟司センセイです。

訃報は悲しい知らせですが、こうして「個人授業」シリーズも文庫化されたものが平積みに並べられ、新たに手に取りやすい状態になりました。
多田先生の置き土産として、このシリーズも改めて文庫版を読んでみようと思います。

※なお、この個人授業シリーズは、この他に河合隼雄先生との「心理療法個人授業」があります。

心理療法個人授業 (新潮文庫)

心理療法個人授業 (新潮文庫)

  • 作者: 河合 隼雄
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2004/08
  • メディア: 文庫



nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は1年以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。