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「食堂かたつむり」 [cinema]


食堂かたつむり プレミアム・エディション [DVD]

食堂かたつむり プレミアム・エディション [DVD]

  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • メディア: DVD


2/28(日)に観てきました。
この作品の原作が書店で平積みに並べてあった時期も知っていて、気になる作品でしたが、予告編を観ていて面白そうだと改めて思っていて、公開を楽しみにしてました。
冒頭、導入で主人公倫子が紹介される部分の唄は、なんだかちょっと中島哲也監督の「嫌われ松子の一生」の雰囲気で、映像はポップな印象なんだけど実はなかなか悲惨な状況から入って・・・・とつい先回りして考えちゃいましたが、当然のように全然違うテイストで進んでいきました。中島監督の個性と、この作品で初めて知った富永まい監督は表現の仕方に多少共通する部分はあるけど、目指そうとしている中身がだいぶ異なっていました。中島監督はどんどん作りこんで濃密にハイテンションにジェットコースターに乗せてくれる感じだったんですが、こちらはカラフルでイマジネーション豊かに様々な要素が溢れかえるように盛り込まれている部分では共通してますが、もっとオーガニックで浮遊感たっぷりのふんわりとした印象でした。
主人公・倫子はあるきっかけで声を失っている設定なんですが、演じる柴咲さんはそこにあんまり力が入っている風でもなく、声を発せない不自由さの息苦しさ、もどかしさみたいなものはあんまりなく、これが彼女の生き方そのものに直結してる個性みたいになっててむしろ言葉から解き放たれている感じのキャラクターでした。
柴咲さんは、「メゾン・ド・ヒミコ」のときもそうだったんですが、親との関係がいまひとつうまくなくて、妙な距離感があって居心地悪いっていうポジション、こういうの、ほんと見事だなぁと思います。
なんとなく関係がぎくしゃくしてて、うまく向き合えない母・ルリコ役の余貴美子さんがまたすごくよくて、実際にはそれほど奔放に気ままに生きてるわけではなくて、でも自分の娘とはこれじゃ合わないよなと思える、魅力的なんだけどちょっと残念な感じって、実はリアルなんじゃないかと思えてきました。
娘とは少し不器用さの種類が違うだけで、ほんとは根っこの部分では似たものどうしなんだというのが伝わってきます。
めがね」や「天国はまだ遠く」、「ホノカアボーイ」、「南極料理人」などここ数年、物語の中に登場する料理がほんとにおいしそうな作品っていうのをつい観てしまうチョイスになっている気がしますが、この食堂かたつむりも、やはり出てくる料理がとってもおいしそうでした。
素材にこだわって、丹精する。
その瞬間の心づくしを提供すると、料理はその食べた人、もてなされた人にとっての特別な時間になりますね。
そして、キュートなブタのエルメスのエピソード。
ああいう展開になるって知らなかったんで、なんともいえない切ない気持ちになりましたが、こういう描写があってこその作品でした。“いただきます”の精神そのものについて触れている大事な場面です。それがそのまま、母ルリコのことにつながっていきますし、二人でエルメスの背中に乗って雲の中を抜けていくシーンの開放感がよかったです。必ずしもハッピーエンドとはいえない結末かもしれませんが、あたたかい気持ちの心地よさが余韻に残る素敵な物語でした。
食堂かたつむりの食卓や食器、それに厨房もひっそりとした独特の雰囲気があってその場所の空気の味わいがまず素敵だったんですが、厨房は実は撮影所のセットだったのを知ってかなりびっくりしました。小さな窓から差し込む光の具合が自然で、調理するシーンの厳かな雰囲気が素敵でした。食堂内部はみんなスタジオ撮影だったようです。とてもそんな風には見えませんでした。
他にもブラザートムさんとか、三浦友和さんとかの配役も魅力的でぴったりでした。ブラザートムさんはTVで見ていると、結構キャラクターに毒気もあったりするんですが、ここでは実に素朴であったかい人柄なんで、ちょっと意外です。でもそれがはまっていました。三浦友和さんが演じるシュウ先輩は、最近作品ごとに様々な表情を見せてくれる三浦さんのキャリアの中では、ここまでど真ん中って、久々かもしれません。余貴美子さんと並んだ姿がほほえましくてよかったです。
これは、機会があったらぜひ原作に取り組んでみたいと思います。

食堂かたつむり

食堂かたつむり

  • 作者: 小川 糸
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2008/01/10
  • メディア: 単行本



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コメント 4

ジジョ

女性監督☆って感じのファンタジーさがありましたね〜。
食材がおいしそうなのがよかったです♪
プリプリしてましたw
by ジジョ (2010-03-16 11:31) 

cs

ジジョさん、niceとコメントどうもありがとうございます。
確かに、色彩感覚とかルリコと倫子の会話のリアルな感じとか女性監督らしさというか、独自の描写になっていたように思います。
エルメスに乗っていくシーンとか、ファンタジーなんですけど、その辺の描き方が現実と地続きの感覚なのって、自分は女性ならではなのかなと。
倫子の料理は、独りでこつこつ、手間隙かけて素材もこだわり抜いて仕上げてるようですね。
美味しそうに見えるんではなく、美味しいというのを目指して撮影されてるみたいですが、「天国はまだ遠く」の料理がまさにそうでした。
さりげないんだけど、実においしそうでたまらなかったです。
by cs (2010-03-18 21:18) 

non_0101

こんにちは。
料理が本当に美味しそうでした~☆
心に傷を負った人たちが心を込めて作られた料理で癒されていく姿を観ていて
一緒に心が軽くなっていく気がしました。
やっぱり食べ物は大切なのだなあとしみじみ感じました☆
by non_0101 (2010-03-22 12:57) 

cs

nonさん、こちらにもniceとコメントどうもありがとうございます。
料理でもてなす心とか、人を気遣い癒していく行為って、そのまま自分に反映していくことですよね。
人を癒すことって、自分も結果的に癒されることにつながっっていたり。

この作品のメッセージはあったかくて、すごく共感できました。
by cs (2010-03-22 14:51) 

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