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「青い鳥」 [cinema]


青い鳥 [DVD]

青い鳥 [DVD]

  • 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
  • メディア: DVD


12/6(土)鑑賞の作品、「まぼろしの邪馬台国」に続いてこれをハシゴです。
公開前からこの作品の予告を劇場で観ていて気になっていました。
原作小説はまだ読んでいません。
重松清氏の描く世界は現実の社会の中にごくありふれて見かける情景のようで、リアルで心を動かされるテーマ設定とか気になるものも多いし、他の小説は幾つか読んだけど、まだ取り掛かってない作品がかなりあります。

この作品の主要な部分は、とある中学校で起こったいじめの問題にあります。
でも、物語としてはすでにいじめそのものは解決していて、日常を取り戻している段階から先を描きます。
これって、たまたま舞台が中学校になってるだけで、現代社会のそれぞれの組織・人間関係の中に数限りなく潜んでいる根深い部分のことを提示されている感じがします。そこには、もう騒ぎ立ててしまわなければならない問題なんて何もないじゃないか、と。でも、本当にそれ、じつはかなり居心地悪いのに我慢してオトナぶって無理してない?本音ではなんとなく不正して平気にしてる自分にちょっと違和感あるはずなのに、表面上は抑えつけてしまって、見えてるのに気づかないふりして、視界から消して見えてないことにしちゃってない?…という些細だから流してしまおうと日常的な判断をする際の矛盾に、巧みなストーリーテリングで描いて冷静に異議を唱えているスタンスがあります。

この主人公、臨時講師の村内先生のキャラクター設定がまたユニークで素晴らしかったんですが、演じる阿部寛さんのアプローチもまた最高でした。
基本的には、ただそこにしっかり立っているだけで全身で伝えようとするある種無防備なスタンスです。
その人自身でしかないからこそ生まれてくる穏やかさの中の迫力は演技の技術的ではない別の部分に思えます。
ただもう、その懐の深い佇まいに惹かれました。
その姿に大きく影響されていく島崎先生を演じた伊藤歩さんのまっすぐな表情もよかったです。

本気の言葉を発しているなら、ただ静かにその言葉を伝えるべき誰かに向けて投げかけていればちゃんと届くし、届いたらそこからたとえ時間はかかっても本気の反応が出てくるはずだと。
吃音のあるオトナが、隠していたはずの本質を芯の強い揺るぎない形で見せられたら、思春期の子たちは動揺するのも当然です。そこで反発するのも当たり前だし、本能的にその行動の奥底を理解して共感するのも絵空事ではないと思えます。実は内面ではオトナのほうが弱いままだったり建前で理論武装したりしていることの方が圧倒的に多いから、そんなオトナの姿に気づいて厭世的になっていく子どもたちに先の道を示してあげることなんてできない現実がやはりあります。
“教育現場の崩壊”なんていう制限的な状況ではなく、自らに正しく誇りを持てない生き方に慣れてしまった自分たちの世界を、どこかで本気で変えていかなければいけないんじゃないか、と。
熱くなってるのは洗練されてないから人の目を気にしてなんとなく仲間の意識からすると損な気がするだとか、正直者はバカを見るとか、なんだか肥大してしまった自己愛をうまく制御できなくなってしまっている社会の気分に、きちんと異議を唱えなければならないと気づかされたように思えました。
主題歌、挿入歌を担当したまきちゃんぐ、初めて聴いていて、この作品の雰囲気にぴったりだったし、なんとなくCoccoに通じるイメージもしてきたこの人の歌声も新鮮で印象深かったです(特に物語が始まってすぐに流れてくる「♪鋼の心」は鮮烈でした)。

青い鳥

青い鳥

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2007/07
  • メディア: 単行本



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