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「紙屋悦子の青春」 [cinema]

日曜はあいにくの雨でしたが、もう岩波ホールでのこの作品の上映も残りわずかになり、週末はこれが最後です。気づけばぎりぎりのタイミングでやっと鑑賞です。
黒木和雄監督の作品は、以前この岩波ホールで「父と暮らせば」を観たのが初めてで、その「父と暮らせば」まで戦争三部作と呼ばれる作品があったのをあとから知りました。
この「紙屋悦子の青春」も太平洋戦争の時代設定で描かれています。
原作は舞台用のシナリオ。
原作者・松田正隆氏は黒木監督の「TOMORROW/明日」に出会いインスパイアされてこの脚本を仕上げ、黒木監督はこの舞台作品に出会って「美しい夏キリシマ」の脚本を松田氏に依頼、そこでこの互いの不思議な縁が結びつき、発展して実現した映画版「紙屋悦子の青春」は結果的に黒木監督の遺作になってしまいました。
前作「父と暮らせば」も井上ひさし氏の舞台用シナリオが原作だし、その演劇的な表現も映画の中では独特の緊張感とライブ感があって新鮮でした。さらに今回の脚本は舞台のものにほとんど手を加えていないらしんですが、その会話のやりとりのユーモラスな雰囲気が練られた言葉によって鹿児島弁で静かに語られるがゆえにありきたりな市民にとっての非戦という意識の建前ではない部分というか、芝居のリアルが日常に根ざした部分として窺えた気がします。
主演の夫婦、原田知世さんと永瀬正敏氏が二人とも穏やかで品があって、まずその存在感に惹きこまれました。そして特攻へと向かう明石少尉役の松岡俊介氏。すっと伸びた姿勢と、清々しさのある凛とした表情が印象的で、時代の不遇に散っていくしかない立場の中で考えうる確実なことをきっちり見据えて実行する、その冷静さに無念がより一層募ります。
パンフによるとこの夫婦は実際に原作者である松田氏の両親のことであるらしいから、実話であると言っていい内容。鹿児島の市井の人の視点が、観ていてとても当然のものに感じられたし、戦争を実体験として知らない自分でもこの時代の人の姿に共感を抱くのもごく自然にできたのはちょっと不思議な感覚でもありました。

紙屋悦子の青春

紙屋悦子の青春

  • 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
  • 発売日: 2007/06/22
  • メディア: DVD


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