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「白バラの祈り/ゾフィー・ショル、最期の日々」 [cinema]

白バラの祈り -ゾフィー・ショル、最期の日々-

白バラの祈り -ゾフィー・ショル、最期の日々-

  • 出版社/メーカー: レントラックジャパン
  • 発売日: 2006/09/22
  • メディア: DVD


都内で公開していた時期にうまく都合がつかなくて見逃してしまっていました。
「歓びを歌にのせて」から「好きだ、」と続いて、津田沼PARCOのシネパークで特別上映があり、この作品も出会うことができました。
1990年代に入ってドイツ統合を機に明るみに出てきたゲシュタポ尋問記録。そのひとつの核が白バラの活動への極刑につながっているようです。ヒトの機能的な組織が時として見せる空恐ろしい一面は、ヒトラー政権という史実として様々な爪あとを遺しているわけですが、詳細なその言葉を再構築して書かれた脚本、ほぼ薄暗い尋問室と牢獄のシーンで映像的には動きも少ないしひたすら台詞劇であるのにダイナミックな緊張感があって、もちろんこれは娯楽作品ではないんだけどドラマとして十分サスペンスフルで見応えがあって惹きこまれました。
自由な精神による批評や発言への弾圧っていうことで、なぜか自分はすぐに幕末の安政の大獄が思い浮かびました。時代背景も色々もちろん違って、少し考えればその後、大日本帝国にも別の形で偏った体制が存在していたっていう史実のほうが直結するはずなんですが。いずれにしても、無念の非業の死は、繰り返されてしまっているんですね。
ギロチン処刑の場面での暗黒とその効果により一層生々しく聞こえる音声と、残響のほとんどないパーカッシブなサウンドトラックも印象的です。
そしてゾフィー・ショルを演じたユリア・イェンチの凛とした表情、モーア尋問官を演じたアレクサンダー・ヘルトの苦々しいキャラクターという際立った対比が次第に熱を帯びて変容していく様が素晴らしかったです。毅然としているゾフィーの手元を一瞬だけ見せるカットやモーアの中のわずかな動揺など、細部の描き方の丁寧さによってそれぞれ生身である人物の複雑でリアルな内面が見えるようでした。


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コメント 4

minku

ほんとに、この作品は内容が判っていても引き込まれる作品でした。
尋問を受けているゾフィーに次第に、尋問官が圧倒されていくシーンは、見せ場でしたね。
DVDになったらまた観たい作品です。
by minku (2006-05-02 22:59) 

cs

minkuさん>
早速のコメント、どうもありがとうございます。
圧倒されていくプロセスが事実ああいう具合だったんじゃないかという推測、すごく納得できますよね。最初のほうでゾフィーはそれほど気丈だったわけじゃないだろうし、自らの置かれた立場の中で結果的にその理想に殉ずる覚悟が決まっていった感じで、その変化に尋問官であるモーア氏がある種共鳴しつつ理性としては否定しなければならないっていう。その関係性の描き方がリアルだったなぁと思いました。
DVDで再確認してみたい、また味わいたい作品でしたね。
by cs (2006-05-02 23:33) 

くみみん

こんばんは。ナチを題材にした映画はいっぱいありますが、こういうシチュエーションのは少ないでしょうね。思想犯として尋問されていく中で意志を固めていくのでしょうか?
by くみみん (2006-05-03 00:27) 

cs

kumiminさん>
コメントありがとうございます。
確かにナチス・ドイツを描くものでもこのシチュエーションは余り知らなかったです。この“白バラ”っていう学生組織の存在そのものも含めて、今回ほぼ初めて知ったくらいです。パンフには関連作品として『白バラは死なず(1982)』、『最後の5日間(1982)』という2つが紹介されていましたが、『最後の5日間』の方は『バグダッド・カフェ』のパーシー・アドロン監督の作品でした。
この作品は2005年製作ってことで、改めて踏み込んで表現できる部分が多かったんじゃないかと思います。そんな中で、ゾフィーが最初から弾圧に屈しない反骨の姿勢でいたわけじゃなくて、ただビラを撒くのを手伝ったんだから・・・と不運からごく自然に逃れようと事実を否認する発言をしていて、結果的に一切の退路を絶たれてからどう覚悟を決めていったのかという辺りの描き方がリアルでした。
by cs (2006-05-03 12:47) 

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