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昨夜のカレー、明日のパン(文庫版) / 木皿泉 [本のこと。]


昨夜のカレー、明日のパン (河出文庫)

昨夜のカレー、明日のパン (河出文庫)

  • 作者: 木皿 泉
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2016/01/07
  • メディア: 文庫


つい最近に、新刊として読んだ作品をこうして文庫で買い直して読むのは自分としてもそれほど多くはありませんが(最近は最初から文庫で購入することがほとんどでもあるので)、これは書店に並び始めているのを発見して、即決でした。巻末にボーナストラックとして収録されている文庫のみの特典、書下ろし短編「ひっつき虫」。最初から改めて読んでみたんですが、するするっと、その流れのままに読み終えていました。思っていたとおり、幸せな読後感でした。ギフとテツコと一樹と岩井さん。その日常は、いろんなことを考えて、自分の行動をそれなりの決断で選択して、そうして続いていく。だから、新しいエピソードがここで語られていても違和感が全然なかったんでしょうか。これはまた、少し時間が経ったら、また手にとって味わってみたい作品です。
タグ:Books 木皿泉
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スプートニクの恋人 / 村上春樹 [本のこと。]


スプートニクの恋人 (講談社文庫)

スプートニクの恋人 (講談社文庫)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2001/04/13
  • メディア: 文庫


「アンダーグラウンド」にかなり時間がかかりましたが、この作品は長さとしてもほかの長編よりずっと短いものだし、すぐに読み終えました。
新刊として出版されたのが1999年、ほぼそれ以来初めて今回読み返してみたことになります。
この作品では、一人称の主人公が初めてひらがな表記の「ぼく」になっていたのを、後から知りました。
ぼくが思いを寄せる相手であり、大いに個性的であるからかぼくがよき理解者のひとりであるすみれには別に対象となる人物がいて、それが今回はまた少し変わったプロフィールの人物ではありますが、描かれている状況がなんとなく「ノルウェイの森」に共通するものに感じられました。スプートニクはビートニクと勘違いされていることで会話の中で出てくるんですが、作品の世界観の中ではそのエピソードとは別の次元で象徴的な意味を持つことになります。
後半、ひとつのエピソードとして登場するにんじんという少年をめぐる出来事、その対応をする店員の暮らす価値観の居心地の悪さは、今の自分の感覚ではなんだか以前読んだ時以上にリアルに実感できました。
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羊と鋼の森 / 宮下奈都 [本のこと。]


羊と鋼の森

羊と鋼の森

  • 作者: 宮下 奈都
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2015/09/11
  • メディア: 単行本


昨年2015年末のTV番組「王様のブランチ」ブック・アワードでこの小説が大賞を
賞しました。
最初にこの作品が特集されていた時にすでにちょっと気になっていたんですが、せっかくなので読んでみようと思いました。
まさか、その後2016年の本屋大賞受賞までいくことになるとは思いませんでした。

とあるきっかけにより、ピアノ調律の仕事を始めることになった主人公の青年、この人物の纏っている雰囲気が、なんとなくですが自分には村上春樹氏の小説で一人称で登場する人物像に近い気がして、なんだか馴染みがある気がしていて、それゆえ勝手に親近感を感じていました。
彼がその目標として尊敬しながらもさりげなく歩むべき道を示してくれるベテランの調理師さん、そして直接指導者として、自らもこの職人の世界と格闘しながら彼の成長を見守ってくれている調理師さん、それに、縁あって出会った依頼人の姉妹。この深くどこか温もりのある「森の中」で見える風景がじんわりと沁みて、読了したとき、凝りをほぐしてもらったように穏やかに心が満たされていました。
宮下奈都さんは作家として、まだこの時点でほぼ無名だった方でしたが、一躍注目されてしまいましたが、こんな作品と、そしてその物語を紡ぐ作家の方に、出会えてよかったです。
まだ読んでいない作品も、いくつか文庫で書店に並んでいます。
このきっかけから、ほかの作品も読んでみたくなりました。
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映画にまつわるxについて / 西川美和 [本のこと。]


映画にまつわるXについて (実業之日本社文庫)

映画にまつわるXについて (実業之日本社文庫)

  • 作者: 西川 美和
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2015/08/01
  • メディア: 文庫


映画監督であるほか、最近では文筆家としても評価が高まっている西川美和監督のエッセイ集なんですが、最初の1編がx=ヒーローとして、朝青龍の引退の話題。
その独自の視点が最初から全開で語られるので、やはり圧倒されました。
その映画にまつわるさまざまが、ふわふわと漂っていることにほとんどの人は気づかないままなのに、そこに何か感じ取って、言葉に置き換え、イメージを転換し、たとえば「ディア・ドクター」のような、あるいは「夢売るふたり」のような脚本と、作品が出来上がっていくことに、なんだか納得です。もちろん、長編映画が無事公開にまで辿りつくには監督以下、多くのスタッフ、関係各方面の支えがあってこそなのは分かるんですが、やはり作品は最後は監督のものになるし、西川監督作品はよりその存在感が際立っているように思えています。エッセイとしてもちろん読み進める楽しさが第一にあるとして、執筆者その人に何より感心してしまいます。
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あん / ドリアン助川 [本のこと。]


([と]1-2)あん (ポプラ文庫)

([と]1-2)あん (ポプラ文庫)

  • 作者: ドリアン助川
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2015/04/03
  • メディア: 文庫


先に映画を観て、出会った作品が本当に大好きになってしまったので、早速この原作小説にとりかかりました。
(記事にするのがすっかり遅れたんですが、読み終えていたのは2015年でした)
読み進めていくうちに、映画化された脚本が本当に誠実にこの原作に向き合って描かれていたのが改めてわかりました。
舞台となったハンセン病患者の隔離施設に関する言及も、映画でもほぼ忠実に再現されていたんですが、文字によって訴えかけてくるものの厳しさを追体験できました。
映画を先に小説を読むと、登場人物が俳優さんのイメージとして浮かびますが、それが実にすんなり受け入れられました。
映画は映画で、できるだけ多くの人に触れてほしい作品だなと思ったんですが、この原作も一緒です。沢山の人が、手に取って味わって、感じてほしい作品です。

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アンダーグラウンド / 村上春樹 [本のこと。]


アンダーグラウンド (講談社文庫)

アンダーグラウンド (講談社文庫)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1999/02/03
  • メディア: 文庫

実は読み終えていたのは、もう数か月前です。
記憶では、読み始めたのが2015年の10月、それから約半年かかって、読了しました。
地下鉄サリン事件被害に遭遇した様々な立場の人たちの証言をインタビューアーとして村上春樹氏がまとめたこの1冊は、最初に新刊で出たときに読んで圧倒されました。
そして村上春樹氏の小説世界も、この現実に起こってしまった出来事によって大きく変容していったのは読者にとってすでに分かっていることではあるんですが、改めてその出来事が日本という国に残したものは、同じ年に起こった阪神淡路地震と重ねてあまりに大きかったのがわかります。
その後、2011年の東日本の震災、そして原発事故。もちろん、沢山の教訓があって、例えば災害救助に関して、耐震に関して、あるいはPTSDに関して、それ以前より多くの人が共有することになった様々なものがある訳ですが、もしかしたらこの時々に慣らされた警鐘が機能しなければいけない大事なところには結局、届いていないのかもしれないと、ふと思えてしまうことも実はあります。
いま改めて読み直してみて、自分が普段、マスコミの報道に対して半分無意識に感じたりする居心地の悪さのようなものを、自分はこの作品に最初に出会ったときに気づかされていて、その感触が今も残っているように思えました。
読みなおして、こうしてまた時間をおいて読了できて、本当によかったです。
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ねじまき鳥クロニクル / 村上春樹 [本のこと。]


ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)

ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1997/09/30
  • メディア: 文庫


ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 (新潮文庫)

ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 (新潮文庫)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1997/09/30
  • メディア: 文庫


ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)

ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1997/09/30
  • メディア: 文庫


久々にこの長編を読み終え、その余韻に浸っています。
データを見たら、1997年の時点でもう文庫化されていたんですね。
新刊として最初に並んだ2冊、そしてまさかあるとは思っていなかった完結編、第3部を一気に読んでみると、その後刊行された幾つかの長編の記憶も自分にはあるので、この作品から揺さぶられる感情の部分が随分と違ってるんだなぁと改めて思いました。初めて読んだ当時、ごく記憶に新しいものとしてあったのが阪神淡路大震災であり、地下鉄サリン事件であり、その出来事に地続きに感じられていたノモンハンはまた、その後に起こった東日本大震災、そして原発事故の記憶とともに、少し違った角度から見えてきました。
ここで描かれている綿谷ノボルという存在はその当時、あまりに強大でゆるぎなかったものに感じられていたんですが、こうして2015年になって読み返してみたとき、その存在の得体の知れなさは少し薄れて、実態がかなり漏れてきているように思えていて、それに気づいたとき少し戸惑いました。
もしかしたら、最初に読んだあの時からずっと、自分の中のねじまき鳥さんは、冷静に考えて敵うはずもない相手に対峙し、あきらめずに格闘を続けていてくれたのかもしれないと、感じました。その感覚は自分にとって、すごく励みになります。
次の長編に行く前に、「アンダーグラウンド」そして「スプートニクの恋人」と、先に読んでおくべきものがまだありますが、可能なら2015年の内に「カフカ」や「1Q84」までたどり着きたいと思っています。
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雲は答えなかった -高級官僚 その生と死- / 是枝裕和 [本のこと。]


雲は答えなかった   高級官僚 その生と死 (PHP文庫)

雲は答えなかった 高級官僚 その生と死 (PHP文庫)

  • 作者: 是枝 裕和
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2014/03/05
  • メディア: 文庫


映画監督としてコンスタントに新作を撮り続けている是枝監督ですが、書店でふと、こんなノンフィクションの本を発見しました。
内容は、監督がまだTV製作会社で映画を撮り始める前の出来事で、その映像作品のデビュー作となるドキュメンタリーの取材過程で知り合うことになったある人物の生涯を綴ったものです。
読み始めてから知ったんですが、是枝監督は直接この人物とは対面しておりません。
こんな風に知り合うことになる、そしてそこから取材が始まるということが、その後是枝監督が作品を撮っていくに当たり間違いなく大きな影響を与えることは当然わかることです。
必然とか運命とか言ってもいいほどの大きな出来事として、是枝監督が残したこの取材記録は、形を変えて別の作品の表現へ繋がっているのはもちろん、この記録そのものが何度も少しずつ版を重ねて書店に並んでいる意味は、すごく大きいように思います。

ずっしりとした手応えの残る本に出会いました。
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五郎治殿御始末 / 浅田次郎 [本のこと。]


五郎治殿御始末 (中公文庫)

五郎治殿御始末 (中公文庫)

  • 作者: 浅田 次郎
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2014/05/23
  • メディア: 文庫


開花期が舞台となった日本の歴史上の特異点ともいえる時期の物語を描く短編集です。
この中の一編、「柘榴坂の仇討」が2014年に映画になり、そちらを先に観ていました。
自分はこのパターンが比較的多いんですが、映画化されたりしているものを先に鑑賞して、後追いで原作に取り掛かる、いつもの形でこれを読みました。
侍の世が唐突ともいえる終わり方をし、それに戸惑い、それぞれに自らの在り方の中でひとつの決着をつけるエピソード、という括りで捉えることができるテーマの作品群で(そういったことが解説にもあり、そのまま考え方を拝借している説明ではありますが)、浅田次郎氏が描くと、やはりそこには武士としての姿の美しさであったり、心意気であったりが描かれていて、読んでいて我が身をつい振り返り、情けなくも感じたりします。中でも映画になった「柘榴坂の仇討」は時代の変転があまりに早すぎるために瞬く間に風化して無価値のように思えてしまう己の身の上が遣る瀬無く、仇を追う立場も追われる立場もあまりに互いに切ない状況にただ戸惑うばかりになってしまうのが心情的によく分かります(もちろん、そんな切羽詰まった状況を自分では経験している訳ではないんですが)。
最期のエピソードとして語られる表題作は、その数々の遣る瀬無い思いを引き受け、示してくれるその生き方は、やはり受け継ぎ、伝えておくべきものではないだろうかと思えます。誰かの未来のために自分の命があり、その一点をのみ考えて生を全うできるなら嬉しいことだし、納得のいく人生なのかもしれないと、やっぱり思えます。
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ジブリの世界を創る / 種田陽平 [本のこと。]


ジブリの世界を創る (角川oneテーマ21)

ジブリの世界を創る (角川oneテーマ21)

  • 作者: 種田 陽平
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2014/08/01
  • メディア: 新書


種田陽平さん、といえば、いくつか手掛けてきた作品で目にしていることがあるという人が多いと思うんですが、日本映画の美術監督として、現在もう別格の評価になっているともいえます。
自分が初めて目にしたのは岩井俊二監督の「スワロウテイル」でした。
最近では、三谷監督の作品は完全に種田さんの美術ありき、になっているようだし、何よりこの本が世に出るのは、やはりジブリとの関わりがあってこそではあるんですが、自分はやはりそのキャリアの初期に関わった「スワロウテイル」をはじめとする作品について、種田さんの仕事というのがどんなものであったかを知りたかったです。
こうした美術の仕事、特に映画製作でとなると、知られていないことの方がやはり圧倒的に多いし、自分がこれから、その道を目指していくとかではないとしても、読んでみて学ぶことが本当に多かったです。
巻末にあった「思い出のマーニー」の米林監督との対談も読みごたえがありました。
仕事への向き合い方って、その人の適性の部分だったり性格によるものとか、あるいは経験してきた年齢によってたぶんどんどん変化していくんだろうけど、様々なものから刺激を受け、それが反映していくことはやはり大事だと思えます。自分の発想の可動範囲をできるだけ錆びつかせず、柔軟でいたいなと改めて思います。
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