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プリンセス・トヨトミ / 万城目学 [本のこと。]


プリンセス・トヨトミ (文春文庫)

プリンセス・トヨトミ (文春文庫)

  • 作者: 万城目 学
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2011/04/08
  • メディア: 文庫


3/28に読了しました。
この原作の映画化作品を先に観ていて、それを改めて追いかけるという自分にはよくあるパターンの読書なんですが、今回は原作者の万城目学氏の他の作品も以前から気になっていたので、これを機会に「鴨川ホルモー」「鹿男あをによし」と順に読んでからこれにとりかかりました。回り道してるんですが、どれも万城目さん独特の面白がらせたくしている工夫があって、それがいちいち楽しかったです。特に今回はご本人の地元での物語ということもあってか、大阪の下町の風景が大法螺の部分と現実の部分とごちゃ混ぜになってて活き活き描かれていたみたいでした。それにしても、この人の広げた風呂敷のまとめ方はやっぱり見事です。映画では実はあちこちに腑に落ちない個所があったりして、手放しで喜べなかったりもしたんですが、それがきちんと丁寧に回収されてました。映画版では旭のキャラクターを男性に変えて岡田将生くん、ミラクル鳥居は綾瀬はるかさんと、いろんなオトナの事情はあるんでしょうが大きな男女の変更はこの作品にとってはかなりの痛手になってしまっています。そりゃ、設定上どうがんばったって回収もしきれないだろうし、無理がありますね。
鬼の松平を含めた会計検査員トリオは実に魅力的なキャラクターだったし、違った設定、違ったロケーションでまたこの人たちの活躍を描く作品がいつか出てくれたらなぁと思いました。
タグ:万城目学
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「ワイルド7」 [cinema]

1/2(月)に観てきました。
マンガ原作の映画化は様々ありますが、とにかく特殊な世界観の原作でもあり、なかなか映画化はこれまで実現しそうでなかったようです。
ある意味、荒唐無稽な設定なんですが、今回はとにかくバイクとガンアクションにこだわって原作を知らなくても楽しめるようにと娯楽作品としてしっかり成立させようと企画されていて、主役の7人ほか、気になる配役も多かったです。
主人公の飛葉=瑛太くんは原作のイメージからするとかなり難しいんですがスタントもほぼ本人が演じるほどバイク姿が馴染んでました。
そしてセカイ役=椎名桔平氏の無頼な雰囲気とのちに見えてくる背景が物語の一つの軸にもなっていて、やはりハマるなぁと。
中井貴一さんの草波役もよかったです。

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「聯合艦隊司令長官 山本五十六」 [cinema]




1/1(日)に観てきました。
ここからがやっと、2012年の鑑賞記録です。
年度も改まってしまいました。
毎年そうなんですが、スクリーンで1本目にどんな作品に出会うかはなんだか意味があるように思えて、公開中の作品から選ぶのもそれ自体が一つの楽しみでもあります。ここ数年は特に、重厚で見ごたえのある作品を選んでいる傾向があります。
ちなみに2011年は「最後の忠臣蔵」、2010年は「沈まぬ太陽」でした。
なんとなく、自分で振り返ってみるとこの数年はその襟元を正したいというような気分でこの1本目を選んでいるように感じます。それと、これはあとから気づいたんですが、2年連続で役所さん主演の作品を元旦に選ぶという結果になってました。

この作品は副題として“太平洋戦争70年目の真実”というものが付加されていますが、その節目を問うのは2011年の東日本大震災を経験してきた我々日本人にとっても新たに大事な意味があるようにも思えます。そのカギとなるのが山本五十六という人物の肖像でもあり、この作品で紐解かれるその実像には、勝手にこちらが描いていたイメージとは随分と違った表情がありました。
結果的に彼は真珠湾攻撃の作戦を遂行するわけですが、この決断がここから太平洋戦争を開戦、展開するためのものというのはむしろ逆で、戦争を一刻も早く終わらせるための手段を幾つかある選択肢からより可能性の高いものとして選び取ったはずだったというのが、やっぱり驚きでした。
ずっと時間が経過した2011年のこの時期から見れば日本という国にとってあまりに大きな代償を払うことになった災禍になってしまったわけですが、そこで失ってしまったものは、単に大勢の人の命というだけでなく、敗戦の後に復興のためにぜひとも必要だった数多くの有望な人材、その知的財産が守っていたかもしれない日本人としての美徳や佇まいのようなもの、という気がしています。
この作品で描かれている山本五十六という人の資質、激烈な最前線の中で発揮される筋の通った豪胆さというより、より広い視野で柔軟に将来のビジョンを見据える飄々とした軽やかさが骨太なカリスマ性と同居するキャラクターは意外でもあり、この作品を通して、そういう人物像もあったんだと知れてよかったと思いました。
もちろん、脚本上の創作部分はあるとしても。
演じた役所さんの温かみのある眼差しが印象的でした。

聯合艦隊司令長官 山本五十六

聯合艦隊司令長官 山本五十六

  • 作者: 半藤 一利
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2011/11/08
  • メディア: 単行本



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日輪の遺産 / 浅田次郎 [本のこと。]


日輪の遺産 (講談社文庫)

日輪の遺産 (講談社文庫)

  • 作者: 浅田 次郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1997/07/14
  • メディア: 文庫


3/3に読了しました。
2011年の後半に、先に映画を観てからこの文庫を購入し、結果、半年くらいかけてじっくり読み進めて来ました。とにかく、映画での印象がずっと鮮明に記憶に残ったままだったので、映画化された小説などを読んでいるときにはいつもそうなんですが、小説の中の登場人物は映画で演じていたそれぞれの俳優さんたちの肖像とイメージを重ねながら動き出していて、活き活きとした物語の世界に惹きこまれていました。ただ、この映画化脚本と原作小説には舞台設定上、けっこう大幅な変更もあったので、先に観ていた映画版にはないオリジナル原作版のなかなか個性の強いキャラクターたちの(主に現代として描かれる部分の登場人物でした)それぞれの奮闘ぶりが新鮮で楽しめました。
映画でもほぼ原作に忠実だったパート、太平洋戦争終結の直前とその後のエピソードは、原作では真柴さんの手帳として登場していて、この辺りの設定は映像化しても伝わりにくいしストレートには描きにくい小説ならではの表現方法かもしれません。映画を観て魅了させられたのもその部分ではあったんですが、この虚実入り混じったエピソードのディテールはやはり小説で改めて確認していくとより一層深みと凄味がありました。この物語が世に出たのはずっと以前のことですが、2011年3月を経験してきた私たちにとっては、この小説が伝える、託している未来の姿は以前にも増して輪郭がはっきりとしている気もしました。
もう一つのパート、現代として描かれている部分はメジロパーマーの大逃げで勝った有馬記念がその時点ですので、これは第37回、1992年12月27日開催ということになります。となると、この時点の映像とかも映画でも見たかったんですが、そうなるとすでに現在とは世相も違っちゃっているし、このパートも戦後から見た近過去として現代とは別に描くという妙な比較になってくるんで、脚本上変えざるを得なかったのかもしれません。そしてここで登場する丹羽さんのちょっと問題ありなキャラクターが実に魅力的だったので、仕方ないんだけど全く映画で登場しないのが残念でなりません。この辺りの人物描写は他で幾つか読んだ浅田次郎氏の小説に通じるちょっと哀しくて人間臭い描き方のある意味では原点に近いもので、やはり自分はこのスタイルが好きです。
そしてこの小説に触れることが出来てよかったと、改めて感じました。
映画版もそうなんですが、この作品には多くの人が触れてほしいなぁと思います。
自分も、またいつか近いうちに、読み直してみたいと思っています。
余談ですが、小説の中では(おそらくはあえて)その名が登場しない1着メジロパーマーに続く2着馬はレガシーワールドでした。

日輪の遺産 特別版 [DVD]

日輪の遺産 特別版 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • メディア: DVD



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「ステキな金縛り」 [cinema]




12/31(土)に鑑賞してきました。
やっとこれで2011年の記録が締めです。

三谷監督の作品は「みんなのいえ」からスクリーンで観ています。
その後、「THE有頂天ホテル」から今作まで、豪華出演陣の多数出演するこの“グランドホテル”スタイルが続いていますが、なんとなく今回のテーマ、舞台設定、作品の展開が集大成的なものになっていて、安心して堪能できました。
西田敏行さんのこういう配役、ご本人も存分に楽しんでいる様子も伝わるしアドリブ満載だし見せ場もたっぷりなんですが、個人的には「ザ・マジック・アワー」の時の制約だらけの中で演じてくれた方が印象に残ったりして、実は今回期待が上回りすぎてしまいました。とはいえ、途中、明らかに中井貴一さんを笑わせようと奮闘している部分とか、実にお茶目でこのキャラクターは西田さん以外、成立しない役柄ではあります。存分に楽しませてもらいました。
そしてこちらも前作に引き続き登場の深津絵里さん、実際の年齢より若い設定のキャラクターなんですが、これが本当にキュートで、やっぱり魅力的です。後半、お父さんとのやり取りは予想通りの展開に近いはずなんですが、ちゃんと途中の伏線も回収しながらヒネリも効いていて自然と涙を誘われました。前作の深津さんが演じていたキャラクターのダークな部分は今回、竹内結子さんに譲った形になっていますが、この辺のキャラクターの処理はやっぱり三谷監督の大好きなハリウッド的な要素でもあります。
今回、中井貴一さんもなかなかのおいしい役でしたが、やっぱり浅野忠信さんと阿部寛さんの自由度の高いポジションには勝てません。特に阿部寛さん、決して登場シーンはそこまで多いわけではないんですが、やはりあのタップは印象深い名シーンでした。

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「東京オアシス」 [cinema]


東京オアシス [DVD]

東京オアシス [DVD]

  • 出版社/メーカー: バップ
  • メディア: DVD


11/23(水)に観てきました。
まだ2011年の記事の更新が残っています。
2012年分も順調に6本、たまっちゃってるんで、さすがに順を追って整理していかないといけません。

この作品のテイストは「かもめ食堂」以降の一連のものと通じるスタッフ・キャストで、淡々とした日常の描写、穏やかな表情と会話のトーン、おいしそうな食事など、観る前から知っている空気感でした。
描かれるのは特別な出来事ではない、アンチ・クライマックスな感触です。二人の監督、三人の脚本と、随分特殊な制作体制ですが、全体の雰囲気はいつも通りですね。

今回は主人公・トウコ=小林聡美さんが、幾つかの場面で出会う人との一対一の対話で成り立っている物語で、そのダイアローグにすべて集約される構成が、なんだかちょっとジム・ジャームッシュ監督の作風と共通して感じられました。ジャームッシュ監督の場合は会話が何だかちょっとかみあわない間に不思議なユーモアがあったりするんですが、こちらはもう少し、繊細で話す相手との距離感により日本人的な心遣いの態度がうかがえます。そして、東京という舞台。誰かと近い距離に居ても感じる都会暮らしの中の孤独感。
これまでの作品よりなんだかちょっと余計に寂しい、けど、後ろ向きではない余韻がありました。

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「スマグラー お前の未来を選べ」 [cinema]




11/20(日)に観てきました。
石井克人監督の作品はこれまでもけっこう観て来ました。
テイストとしては同じマンガ原作ということもあってか、「鮫肌男と桃尻女」のダークな世界観とどこか共通しているように思えましたが、こちらは格段にパワーアップして濃厚で狂気じみています。
妻夫木くん演じる主人公・砧が無気力で他力本願ゆえに闇社会にするっと入り込んでしまう展開は原作の真鍋昌平さんの描く「闇金ウシジマくん」でも何度も語られるような設定で、現実にあっても不思議ではない危うさがリアルです。
そこで知り合う容赦ないキャラクターたちが石井克人監督好みのかなり濃い面々。
運び屋・ジョーを演じる永瀬正敏氏は「PARTY 7」以来の石井組なんですが、すっかり裏社会の汚れた空気を肺一杯に吸いながらも自らの掟に従いアウトローを貫き生き抜いてきた影の濃い人物像が説得力十分で、彼の積み上げてきたキャリアで演じる重厚感、人間臭さが実に魅力的でした。そしてその不思議な相棒・ジジイに我修院達也氏。なぜか「茶の味」とリンクするイカ好きな人物。彼はとにかく石井克人監督作品には欠かせない要素のひとつです。
松雪泰子さんが演じた裏社会の便利屋・山岡は登場シーンも少ないんですが妙に印象に残る謎めいたキャラクターでこれが原作では男性だったと後から知りびっくりです。
組長のオンナ・田沼ちはるを演じる満島ひかりさんは近年特に存在感がある女優さんとして様々な作品に出演していますが、その中でもこういう設定の役を振られるのはなかなか異色なんじゃないでしょうか。山岡同様、一切笑顔のない役なんですが、二人ともほぼ表情のないその冷徹さの中にふとのぞかせる人としての温かさのようなものが感じられるのがよかったです。
後半、砧を徹底的に拷問にかけて追い詰める河島役の髙嶋政宏さん、突き抜けたハイテンションで“狂犬”の異名をとるその独特の行動が危な過ぎです。昔の日本軍の軍服にオムツって・・・。
そして強烈なヒットマン、背骨と内臓というコードネームのコンビが漂わせている哀愁と徹底的な暴力描写、この無音の世界の寂寥感は独特でした。特に背骨=安藤政信くんの危険な眼差しと鍛え上げられた肉体美は印象的でした。

どの部分がそのままで、どの辺が映画独自の設定なのか、原作の漫画を確認してみたくなりました。


新装版 スマグラー (アフタヌーンKC)

新装版 スマグラー (アフタヌーンKC)

  • 作者: 真鍋 昌平
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/09/23
  • メディア: コミック



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「がんばっぺフラガール!」 [cinema]


がんばっぺ フラガール! ―フクシマに生きる。彼女たちのいま―【DVD】

がんばっぺ フラガール! ―フクシマに生きる。彼女たちのいま―【DVD】

  • 出版社/メーカー: TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
  • メディア: DVD


11/6(日)に観てきました。
様々な作品を観てきた中でも、このドキュメンタリー作品は“きちんと観ておきたい、知っておきたい”という意思があって、他とは違う向き合い方で映画館に出かけました。

2011年3月11日の震災、その後の4月11日の余震によりいわき市のスパリゾートハワイアンズは施設全体が壊滅的な打撃を受けてしまったそうです。本来なら3月の時点ですでに営業再開の準備をしていたにもかかわらず。
監督の小林正樹氏は映画「フラガール」のメイキング特番を手掛けたり、スパリゾートハワイアンズのDVD構成を担当していたりした方。そして全体のナレーションは蒼井優さんと、この作品に関わるべくして参加した所縁のある人々の協力で制作されています。
開業前年以来となる全国キャラバンに出かけていくフラガールたちの笑顔は、自らが被災者であるからこそ届けられる素敵な輝きであふれていました。元気いっぱいの彼女たちの笑顔とともに踊りのBGMで使用される映画主題歌の歌詞が新たな意味をもって響き、ついつい涙が。
一時期は被災者たちの仮の宿となったハワイアンズの宿泊施設が再開へ向け本格始動した10月、その映像で幕を閉じる、ここから始まる物語の劇場公開が10月末、このたくましさ、不屈の精神に拍手でした。

フラガール plus 1

フラガール plus 1

  • アーティスト: ジェイク・シマブクロ
  • 出版社/メーカー: ソニーミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 2007/02/21
  • メディア: CD



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「アンフェア the answer」 [cinema]


アンフェア the answer DVDプレミアム・エディション

アンフェア the answer DVDプレミアム・エディション

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • メディア: DVD


10/22(土)に観てきました。
このシリーズ、最初のTVドラマから好きでずっと観てきたんですが、まさか4年越しで映画として復活するとは思っていませんでした。
シリーズを通して脚本を担当していた佐藤嗣麻子さんが新たな監督です。
主演の雪平夏美=篠原涼子さん以下、お馴染みの顔ぶれに加えて、佐藤浩市さん、大森南朋さん、吹越満さん、山田孝之くんと豪華なゲスト陣。
今回の雪の北海道から始まるエピソードは、病院占拠とか細菌テロとかなんだか派手だった前作の映画版とはまた違った形で、雪平が精神的にじわじわ追い詰められていく展開で、この雰囲気はTVシリーズに近いのかもしれません。
それにしても香川照之さん、寺島進さんはこれまで以上に見せ場一杯で渋い存在感がよかったんですが、阿部サダヲさんは着々と出世してこのポジションに収まっちゃうとキャラクター的にはもう地味になってく一方でそれがさびしいです。加藤雅也さん演じる三上は相変わらずのジョーカー的存在でまだこの先がありそうで楽しめます。当然なんですがこの中に、安藤=瑛太くんが不在なのが残念でなりません。
・・・と、シリーズものとして個人的には堪能させてもらえたんですが、この作品だけを他を知らずに単体で観たらどう感じるんでしょうか。
少なくとも“踊る”シリーズみたいなみんなで盛り上がろうというスタンスとはちょっと違っている気はします
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「ツレがうつになりまして。」 [cinema]


ツレがうつになりまして。 プレミアム・エディション [DVD]

ツレがうつになりまして。 プレミアム・エディション [DVD]

  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • メディア: DVD


10/16(日)に観てきました。まだ2011年の記事が追いついていません。

映画作品で特に日本映画に関しては、だいたい自分がどういう傾向のものが好きなのかはもう十分、知り尽くしているので、この作品を予告編で知り、間違いなく自分がハマるものだと確信できました。

主演の堺雅人さんは「日輪の遺産」に続く佐々部清監督作品ですが、作品のテイストもキャラクターも全く違うものなのに、全然違和感ありません。
今回のキャラクターは、堺さんが演じてきた過去の役柄からいうと比較的近いかなと思えるのは「ゴールデンスランバー」の青柳くんのような、ごく普通の市井の人。そのありふれた小市民の姿の中にその人なりのちょっとした特徴を付加するのが本当に得意な感じです。今回は、気づけばうつに診断されちゃう旦那さん、毎日自分が会社で食べるお弁当用のチーズを曜日ごとにきっちり分けて全部冷蔵庫に準備してあるシーンとか(それを取り出して弁当箱に詰める一連の作業がついつい顔がほころぶくらい実に楽しそうだったりして)、細かい日常のことにこだわりがある一方で平気なところは無頓着でいられるツレのキャラクターがなんだかほほえましくて、うつで苦しんでいる状態にもふとユーモラスな感じがありました。現実にはもっともっとシャレにならない状況だったりもするはずだし、命の危険も幾度となく感じたりする体験をしているはずですが、彼のあぶなっかしくも放っておけなくなる感じは実際の緊張感を中和して緩衝してくれる様子で、これは奥さんであるハルさんのアバウトさとの絶妙の相性もあるんでしょう。原作のツレ氏と貂々さんのカップルの相性もどこか共通してるんだろうなと思えます(脚本上、色々と細かな設定は部分的に変更されているようではありました)。
そのハルさんを演じた宮﨑あおいさん、この奥さんの伸び伸びとしたキュートさは本当に見ていてほっこりします。“ハルさん”というキャラクターの呼び名が、偶然「神様のカルテ」と一致していますがこれは制作サイドが異なっているので意図はないはずなんですが、両方の作品を観ているといい意味で演じたあおいさんの素の部分の魅力が重なっていて補完してくれている感覚がありました。こちらの作品でのハルさんは、結構人としてずぼらだったりダメダメなところもあるんですが、髪の毛ぼさぼさで八つ当たりしてたりしても、この家に居てくれることの大事さが伝わってきます。ツレも彼女の不完全さを必要としているし、彼女もツレのこんだけ弱ってても曲げないところにある種の尊敬もある、お互いをありのままで受け入れている関係が素敵でした。
この作品では夫の発症という出来事がひとつ大きなきっかけですが、おそらく二人のように一緒に暮らしていく中での様々な困難は色々な形で起こりうる出来事は訳で、ここで描かれていることは人と人とのつながりの中できっと普遍性がある、共感できるテーマだなぁと思えました。

鑑賞後、書店で探して原作を読んで改めてほっこり、でした。

ツレがうつになりまして。 (幻冬舎文庫)

ツレがうつになりまして。 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 細川 貂々
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2009/04
  • メディア: 文庫



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